前回の記事はこちら:
個人開発で2D剣戟アクションを作っている話【0〜10時間目】
第1回の「次回までの目標」に、こう書きました。
武器の持ち替えにボタンを割きすぎていて、アクションを追加する余地がない。このままにするかは要検討
検討した結果からお伝えすると、武器を3本から1本に減らしました。
前回の記事の目玉だった「共鳴充填」(武器を回すと火力が上がる仕組み)も、まるごと廃止です。
今回はその話から始めます。全体のテーマは「作ったものを壊す勇気」です。
武器3本→刀1本にした
きっかけは実機で遊んだ時の自分の感想でした。
- いろんな武器を使わせる方向は良いが、強制されるとストレスになりそう
- 好きな武器をずっと使えた方が楽しいのでは
- そもそも初の個人開発で武器3種は無謀(調整コストが3倍、手触りの作り込みは1/3)
理屈で組んだ仕組みは綺麗でも、遊んで楽しいかは別の話でした。
代わりの成長軸は技の会得にしました。マップのどこかにある巻物を拾うと、使える技が増える方式です。「武器を切り替える楽しさ」から「できることが増える楽しさ」への転換です。
副産物として、持ち替えに使っていたボタンが全部空きました。今は通常攻撃・溜め斬り・回避がそれぞれ1ボタンに収まっていて、アクションを足す余地ができています。前回の宿題はこれで解決です。
メトロイドヴァニアに舵を切った
技の会得を成長軸にすると、自然と「技を手に入れると行ける場所が増える」方向に進みたくなります。というわけでメトロイドヴァニア方向に舵を切りました。
- 1本の長いステージを5つのエリアに分割して、門で接続
- マップ画面とミニマップを追加
- ボスの部屋の門は高台の上にあって、二段跳びを覚えないと届かない
- 二段跳びの巻物は脇道の奥に隠してある
つまり「見えるのに届かない→探索して能力を手に入れる→戻って跳ぶ」という、あのジャンルの気持ちよさの最小構成です。
スタン(体幹)システムを入れた
戦闘には Lies of P 式のスタンを入れました。
- 攻撃やジャストガードを当てると、敵のスタンゲージが貯まる
- 満タンでグロッキー(無防備)→致命の一撃(ダメージ3倍)が入る
- スーパーアーマー持ちの敵は、このスタンでしか崩れない
きっかけは「今のままではホロウナイトと変わらなくないか」という自分の危機感です。ジャストガードが「被弾を防ぐ手段」から「敵を崩すための攻めの手段」に変わったことで、ガードを積極的に狙う理由ができました。溜め斬り(スタン蓄積が大きい)にも崩し役という存在理由が生まれて、技の役割分担がはっきりしてきました。
実機で遊んで直した2つ
第1回に書いた「実装はAIに任せて、自分は動作確認をする」という進め方が、今回ちゃんと回りました。実機で遊んで気になったことを伝えて直す、のサイクルです。
1. 「赤い攻撃=ガードできる」をやめた
敵の予備動作の色を、当初「赤=ガード可」にしていたのですが、遊ぶと全然ダメでした。長年のゲーム経験で「赤い攻撃は回避」が身体に染みついているんですね。黄=ガード可/赤=ガード不能に反転して、さらに着弾直前に白く点滅する合図を足しました。仕様は理屈より、プレイヤーの身体感覚に従うべきだと実感した一件です。
2. スタン後の一撃がしょぼい
せっかくゲージを貯めて崩したのに、普通の斬りと見た目が同じでした。大きな斬撃エフェクト+カメラのズーム+長めの停止を入れて「ご褒美の一撃」らしくしました。
次回までの目標
- 通しで5分遊べる縦切り(1ステージ・雑魚・ボス・クリアまで)を仕上げる
- 仮の四角人間を卒業するか、アートの方向性を考え始める
総評
今回いちばん学びだったのは、AIは作るのが速いぶん、捨てる決断は人間の仕事になるということです。
共鳴充填もボス報酬の導線も、AIは注文どおり綺麗に作ってくれます。でも「これは楽しくないから捨てる」「逆にする」は、実機で遊んだ人間にしか言えませんでした。作るコストが下がったからこそ、気軽に作って、気軽に壊せる。個人開発とAIの相性の良さは、案外こういうところにあるのかもしれません。
次回も更新できるよう頑張っていきます。
